イケメン王子の花メイド
「なるほどな」
「…は、はい。すみません…」
「いや謝るな」
こうやって謝るなと言って下さるのは、棗様がお優しい方という証拠なのでしょう。
私は少し微笑んだ。
「…それで埋め合わせというのは明日までに考えておけと言われているんだ。遠山に」
さらば安堵。
「あ、明日!?」
「何をすればいいんだ。デートは却下」
いやそんなことを言われても!
お金持ちらしい埋め合わせ…埋め合わせ…。
私は呪文のようにぶつぶつとそれを呟き、未だ離されていない腕にドキドキしつつも必死に頭を働かせた。
ふと、これ名案と頭に電球が灯る。
「お茶会に招くというのはどうでしょう」
「…お茶会?」
「はい。優雅で素敵だと思います!」
「…なるほどな」
「他にもご友人をお誘いになればきっと楽しくなると思いますよっ」
「騒ぐのはあまり好きではないが、それでいこう」
なんと、案が採用されました!
やはり名案だったようで。
私はニコニコと笑います。
「そういうのは馨の方が気が利くからあいつに協力してもらおう」
なんだか楽しくなりそうです。