キミが、好きです ~茜色の空の下~
「……そっか。
もう、帰ろっかな……」
なんだか、
バカバカしくなってきちゃった。
あたし……
心の中では、分かってた。
きっと、来ないんじゃないかって…………。
「暗いし、送るよ」
西森くんは笑顔で言った。
さっきみたいなことがあったから、
暗い道は、少し怖いもん。
「じゃあ、お願いしようかな……?」
「行くか」
きっと、叶多くんはもう来ない……。
あたしより、莉歩さんが大切なんだ。
だって、莉歩さんは
“彼女”よりも大切な、
“家族”なんだから。
あたしなんかが踏み込めない絆がある……。