キミが、好きです ~茜色の空の下~
「なー、向こうの岩場行かない?」
「いいよ!」
青い海は、
太陽に反射して、
キラキラ輝いている。
波の音も、
妙に心地良い。
岩場までくると、
小さな岩に
あたしたちは腰を掛けた。
「あたし……この、磯の香り、っていうのかな?
それと波の音が……好き」
しょっぱそうな香りだけど。
“海”って感じがして、
海にくる度、
記憶と一緒に残る香り。
「こころらしいな」
「何ソレ。……どーいうこと?」
「ううん、別にー」
叶多くんははぐらかした。
だけど……悪い意味ではなさそう。
そう分かったのは、
叶多くんの顔が物語っていたから。