キミが、好きです ~茜色の空の下~






「…っ…、…それは治らないんですか?
莉歩はもう…歩けないんですか?」


「……えぇ。こればかりはもう……」


言いにくそうに医師は言った。



莉歩は自分の足を見つめながら

『動かないんだ……』と呟いていた。





病室内に、暗い沈黙ができた。








――――コンコン。

―――ガラッッ。



勢いよく病室に入ってきたのは、

強面な……恐らく、刑事だ。





「警察署の、渡部(ワタベ)です。
……突然で申し訳ないのですが、事故のときの様子を
お聞かせ願いたいんですが」


思い出したくないのは、


莉歩も一緒だと思う。





だけど……こればかりは仕方ない。











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