キミが、好きです ~茜色の空の下~
「吉岡、さすがだったよ。
お前って……意外と速いんだなー」
クシャッと笑いながら言った、南くん。
「『意外』って、余計じゃない?」
素直に『ありがとう』と
言えない自分がいる。
素直にならなきゃ、
って決めたばっかなのに…………。
「あっ。一ノ瀬も頑張ったなー!」
「ホントっ!?
頑張ったんだよ。ビリにならないようにね」
2人の会話をほほえましく聞く。
だけど………胸がモヤモヤする。
南くんは、誰にでも笑って。
誰でも褒める。
……わかってはいるけど、
その笑顔が自分のモノになりたい。
……なんて、独占欲が生まれる。