キミが、好きです ~茜色の空の下~
――――………
駅前まで走ってくると、
ベンチに小さくなって座っている莉歩がいた。
「……莉歩…」
「叶多……来てくれたんだね。ありがとう」
莉歩は俺に抱きついてきた。
「…帰るか」
「ねぇ、叶多。
昔みたいに、手繋いで帰ろ?」
きっと、断ったら
また塞ぎこむんだろう……。
俺は、笑顔で頷いた。
街灯が灯る、暗い道を歩く。
「……叶多…くん」
暗い道の向こうから現れたのは、
ピンクのワンピースを着た、こころだった。
俺は、条件反射みたいなモノで
莉歩と繋がる手を離した。
「あ……莉歩、さん」
「こころちゃん…?
ごめんね。叶多の手……あたしのだから」
莉歩はそう言うと、こころは悲しそうに笑って
俺の横を通りすぎた。