あかつきの少女
二人の間に沈黙が流れる。

ファミリーレストランのテーブルの上には食べ終えた食器が二つ置かれたままだった。

「……こ、このあとどうしようか。」

小冬は食事中から続いていた沈黙を遠慮がちに破った。

すると鈴実から意外な言葉が紡がれた。

「このままここで少しお話ししない?」

ふわりと微笑む彼女に小冬は思わず胸が高鳴った。

Γう、うん!」

Γありがとう」

Γなに話そうか」

小冬がそう言うと鈴実は少し考える素振りを見せた。
伏し目がちになると彼女の長いまつげが目の下に影を落とす。

思わずため息が出そうになるのをぐっとこらえた。

「たまには本以外のお話をしようか?ほら、私小冬ちゃんのこと、本関係を除くとまだ全然知らないし」

「そういえば私もそうだ。うん、じゃあ趣味は?」

そう言った後で小冬はものすごく後悔した。
心の中でこう思う。

そんなの読書に決まってるじゃん!私のバカ!

ということが鈴美に伝わったようで、また彼女はふわりと笑った。

「読書とガーデニングと、あとは……下手だけど小説書いたりしてるよ。」

「え、すごいね!どんなの書いてるの?」

小冬の目は、いつか図書館で鈴実を見たときのように輝いていた。
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