あかつきの少女
12歳
山里雫(やまさとしずく)。
12歳。
彼女の初恋の相手は、同じクラスの、棗という少女だった。
「ねぇ、ヨウ聞いて?」
「なにー?」
「棗ちゃんとね、おんなじ班になったんだけど、もう、すっごく可愛いの!」
幼馴染みの大林楊子(おおばやしようこ)は、学校だろうと家だろうと、いつも雫の“棗ちゃん話”を聞かされていた。
楊子は雫とはクラスが違うため、“棗ちゃん”のことは話でしか聞いたことがなかった。
もっとも、同じ学校内にいるのだから、何度かすれ違ったことはあるのだが、楊子はそれには気付けない。
そんなある日、楊子は棗と同じ保健委員会に入った。
――なるほど、確かに綺麗な髪
楊子の棗への第一印象は、それだった。
棗の髪は、雫の話していた通り、黒く、艶やかで、真っ直ぐだった。
それに近づけばほのかにシャンプーの花の香りがして、
うっかり恋してしまうのも納得できた。
「棗ちゃんだよね?髪、綺麗だね」
小学生特有の明るさで声をかけた。
「え?ありがとう!!」
あどけない笑顔を向ける。
「あたし楊子。ねぇ、おんなじ日の当番やらない?」
「うん!いいよ!」
楊子が棗に近づこうと思ったのは、友達心から…なのかもしれない。
それから楊子は棗を知っていき、
その全てを、雫に教えていた。
「告白、しようかな」
雫がそんなことを言い出したのは、それから一ヵ月ほど経ってからのことだった。
楊子の部屋で二人ゲームをしていたとき、いきなり言い出すから、楊子のアバターは1回死んでしまった。
バカにするかのようなメロディが流れて、楊子はセーブもせずに電源を切る。
「なにいきなり」
楊子の声は、わずかに冷えていた。
12歳。
彼女の初恋の相手は、同じクラスの、棗という少女だった。
「ねぇ、ヨウ聞いて?」
「なにー?」
「棗ちゃんとね、おんなじ班になったんだけど、もう、すっごく可愛いの!」
幼馴染みの大林楊子(おおばやしようこ)は、学校だろうと家だろうと、いつも雫の“棗ちゃん話”を聞かされていた。
楊子は雫とはクラスが違うため、“棗ちゃん”のことは話でしか聞いたことがなかった。
もっとも、同じ学校内にいるのだから、何度かすれ違ったことはあるのだが、楊子はそれには気付けない。
そんなある日、楊子は棗と同じ保健委員会に入った。
――なるほど、確かに綺麗な髪
楊子の棗への第一印象は、それだった。
棗の髪は、雫の話していた通り、黒く、艶やかで、真っ直ぐだった。
それに近づけばほのかにシャンプーの花の香りがして、
うっかり恋してしまうのも納得できた。
「棗ちゃんだよね?髪、綺麗だね」
小学生特有の明るさで声をかけた。
「え?ありがとう!!」
あどけない笑顔を向ける。
「あたし楊子。ねぇ、おんなじ日の当番やらない?」
「うん!いいよ!」
楊子が棗に近づこうと思ったのは、友達心から…なのかもしれない。
それから楊子は棗を知っていき、
その全てを、雫に教えていた。
「告白、しようかな」
雫がそんなことを言い出したのは、それから一ヵ月ほど経ってからのことだった。
楊子の部屋で二人ゲームをしていたとき、いきなり言い出すから、楊子のアバターは1回死んでしまった。
バカにするかのようなメロディが流れて、楊子はセーブもせずに電源を切る。
「なにいきなり」
楊子の声は、わずかに冷えていた。