あかつきの少女
10分休みには何を?
休み時間には必ずといっていいほど読書をしていた。
そんな鈴実を見て、小冬も休み時間は読書をするようになった。
小冬には、10分休みのたびに、わざわざ話しかけに席まで来てくれる人はなどいなかった。
小冬は小冬で、話しかけることが出来ないため、休み時間は寝るか読書か勉強しか、選択肢がなかったのである。
自分と同じように席で一人で過ごす人がいることにちょっとした安心感を抱きながら、
内心では鈴実と話がしたいと思っていた。
しかしやはり鈴実の読書をするときの目は真剣で、小冬には、とてもそれを遮ることができなかった。
時折注がれる彼女への熱い視線は、小冬の、そんな密かな思いの現れでもあった。
もちろん鈴実は、後ろから注がれる視線に気付かない。
「この間借りた本、まだ途中だけどおもしろいね」
そんな小冬が再び彼女に話しかけることができたのは、やはり給食中のことであった。
「そっか。よかった…」
素っ気なく返す鈴実。
「ねぇ、す、鈴実ちゃんは、どんな本が好き?」
やっと出来た会話をなんとか続けたかった小冬は、必死にそう問いかけた。
「どんな…って?」
聞き返す。
「好きな作家さんとか、いないの?」
「いない」
きっぱりと、短く答えた鈴実に、小冬はそれ以上続けることを諦め、お弁当のオニオンフライを咀嚼した。
そして白いご飯を一口。
「だけど、外国人作家より、日本人の人が書いた小説の方が好き」
まさか続けられると思わなかったその言葉に、小冬は焦る。
どうして、と聞きたくても、口にものが入っているため出来ない。
出来る限り、たくさん彼女と話してみたいと、小冬はいつも考えていた。
せっかく彼女の方から話を膨らめたのに、小冬が返事をしなければ、このまま会話は終わってしまう。
些細なチャンスさえ逃したくなかった小冬は、数回噛んで、まだ喉を通るには大きくても、無理矢理に飲み込んで聞いた。
「どうして?」
そんな鈴実を見て、小冬も休み時間は読書をするようになった。
小冬には、10分休みのたびに、わざわざ話しかけに席まで来てくれる人はなどいなかった。
小冬は小冬で、話しかけることが出来ないため、休み時間は寝るか読書か勉強しか、選択肢がなかったのである。
自分と同じように席で一人で過ごす人がいることにちょっとした安心感を抱きながら、
内心では鈴実と話がしたいと思っていた。
しかしやはり鈴実の読書をするときの目は真剣で、小冬には、とてもそれを遮ることができなかった。
時折注がれる彼女への熱い視線は、小冬の、そんな密かな思いの現れでもあった。
もちろん鈴実は、後ろから注がれる視線に気付かない。
「この間借りた本、まだ途中だけどおもしろいね」
そんな小冬が再び彼女に話しかけることができたのは、やはり給食中のことであった。
「そっか。よかった…」
素っ気なく返す鈴実。
「ねぇ、す、鈴実ちゃんは、どんな本が好き?」
やっと出来た会話をなんとか続けたかった小冬は、必死にそう問いかけた。
「どんな…って?」
聞き返す。
「好きな作家さんとか、いないの?」
「いない」
きっぱりと、短く答えた鈴実に、小冬はそれ以上続けることを諦め、お弁当のオニオンフライを咀嚼した。
そして白いご飯を一口。
「だけど、外国人作家より、日本人の人が書いた小説の方が好き」
まさか続けられると思わなかったその言葉に、小冬は焦る。
どうして、と聞きたくても、口にものが入っているため出来ない。
出来る限り、たくさん彼女と話してみたいと、小冬はいつも考えていた。
せっかく彼女の方から話を膨らめたのに、小冬が返事をしなければ、このまま会話は終わってしまう。
些細なチャンスさえ逃したくなかった小冬は、数回噛んで、まだ喉を通るには大きくても、無理矢理に飲み込んで聞いた。
「どうして?」