ナナイロのキセキ

翌日。

仕事の休憩時間に、私はこっそりレジ横にあるカルテの棚に手をのばす。


(えーっと・・・、坂下さん、坂下さん・・・。)


さ行の棚をたどっていくと、ほどなくして探していたカルテを見つける。


(あ、あった!)


お目当てのカルテを手に取ると、そっと開いて目を通す。


(坂下亮一さん・・・、ん?32歳!?・・・11コも年上なんだ!)


27、8くらいかなと思っていたので、少し驚く。


(うーん。話、合うのかなあ・・・。)


32歳・・・、確かうちの店長もそのくらいだったと思う。

独身だからか、気の持ちようなのか、見た目も若いし、話していても楽しい。

多分私に合わせてくれているんだろうけど、年齢だけで合うか合わないかは判断できないか・・・と思う。

女同士、ということもあるだろうけど・・・。


ふっと、坂下さんの顔を思い出す。


(合えば、いいな・・・って、いやいや、なんでそんなこと思ってるんだろ!)


< 13 / 261 >

この作品をシェア

pagetop