ナナイロのキセキ
翌日。
仕事の休憩時間に、私はこっそりレジ横にあるカルテの棚に手をのばす。
(えーっと・・・、坂下さん、坂下さん・・・。)
さ行の棚をたどっていくと、ほどなくして探していたカルテを見つける。
(あ、あった!)
お目当てのカルテを手に取ると、そっと開いて目を通す。
(坂下亮一さん・・・、ん?32歳!?・・・11コも年上なんだ!)
27、8くらいかなと思っていたので、少し驚く。
(うーん。話、合うのかなあ・・・。)
32歳・・・、確かうちの店長もそのくらいだったと思う。
独身だからか、気の持ちようなのか、見た目も若いし、話していても楽しい。
多分私に合わせてくれているんだろうけど、年齢だけで合うか合わないかは判断できないか・・・と思う。
女同士、ということもあるだろうけど・・・。
ふっと、坂下さんの顔を思い出す。
(合えば、いいな・・・って、いやいや、なんでそんなこと思ってるんだろ!)