ナナイロのキセキ
かあっと、頬が熱くなるのを感じる。
昨日までは、なんとも・・・まあ、ちょっとステキだとは思っていたけど・・・、それだけで、ただのお客様だったのに。
そういう、ちょっとステキという人なら、ほかのお客様だって、よく行くカフェの店員さんだっているし・・・。
私は、誘われただけで気持ちが動くようなタイプだっただろうか。
(ううん、そんなことはない気がするけど・・・。)
じゃあ、なんで?
考えてもわからないけれど、昨日から、ずっとドキドキしている。
(はあ・・・。)
「ナーナちゃんっ!」
「きゃっ!!」
ため息をつき、カルテを持ったまま悶々としていると、肩の後ろから、有馬さんがにゅっと顔を出す。