ナナイロのキセキ
この前の休日に買った、真新しい小花柄のワンピースに、お気に入りの茶色いブーツ。
仕事でだいぶ崩れてしまったメイクは、待ち合わせ前に念入りに手直しをした。
束ねていた髪もほどいて、何度も鏡でチェックしてきた。
(大丈夫!多分、メイクも崩れてない、はず!・・・はあ・・・。でも、緊張する。)
ドキドキする胸を押さえながら、スマホの時計を確認する。
17:58。
ふうっともう一度深呼吸をしたとき、目の前に黒い影が止まった。
はっと視線を上げると、息をきらした坂下さんが立っている。
「ごめん・・・!遅くなって・・・っ。」
坂下さんは、手を上げて、謝りながら息を整えている。
「いえ!まだ、2分前ですし・・・。」
私がスマホを見せると、少しほっとしたような表情になる。
「そっか・・・。ホームで時間見たら5分前だったから、走ってきたんだけど・・・。あ、でも、牧野さんは早く来てくれてたんだよね?結構待ったかな。」
「!い、いえ・・・!ちょうど、来たところです。」
「ほんと?ならいいけど・・・。」