ナナイロのキセキ
プロポーズされたい気持ちと、もしされたらどうしよう、という気持ちと。

どちらかといえば多分、私はされることを期待しているんだろうな、と思う。

なんだかんだ言って、好きな人からプロポーズされるというシチュエーションは、女の子の・・・私の憧れなのだと思う。

とはいえ・・・。


(これ以上、ひとりで勝手に妄想ふくらませて悩んでても、ばかみたいだよね。)


結婚を意識させるワードが、ここのところ、私の周りで飛び交うけれど。

実際のところ、悩むような事態には、全く陥っていないわけで・・・。

にまにまと、笑顔で勘ぐるお母さんの視線を感じる。

私はそれに気づかないフリをして、千切りキャベツに集中した。


その日の夕食。

テーブルには私作の生姜焼き定食が並び、お父さんもお母さんも、「おいしいおいしい」と言って食べてくれた。

特にお父さんはとてもうれしそうで、「どこそこの生姜焼きよりうまいぞ!」なんて言いながら、かなりご機嫌で完食してくれた。


(彼氏のために練習してるなんて知ったら、急に不機嫌になりそうだけど・・・。)


自分が作った料理を、「おいしい」と言って食べてもらえるのは、やはりとてもうれしいな、と思った。
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