ナナイロのキセキ
夜。22時。

ここ最近、だいたいこの時間に、亮一さんからの電話がくる。

私からもかけようとは思うのだけど、かけようとすると、向こうからタイミングよく電話がかかってくる。


(以心伝心、かな?)


今日も、22時を何分か過ぎると、スマホが着信を知らせていた。

「はい。」

「お疲れ様。」

いつもと変わらない、亮一さんの声が聞こえる。

今日もまたそれだけで、気持ちは自然と上がっていく。

「あ、お疲れ様です。私は今日は、休みでしたけど・・・。」

「ああ、いいんだよ。挨拶みたいなものだし。

それで、今日は何してたの?」

「料理、してました!豚の生姜焼き作ったんですよ。

お母さんに手伝ってもらってですけど・・・。

みんなおいしいって言ってくれたので、今度亮一さんにも作りますね。」

「そっか。・・・それはうれしいな。

じゃあ、楽しみにしてる。」

弾むような、やさしい声。

本当に喜んでくれていることが、電話越しでもよくわかる。

「じゃあ、来月はこっちに来てもらおうかな。」

次に会う約束。

亮一さんは、当然のように「来月」という言葉を口にした。

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