ナナイロのキセキ

何かを考えているであろう亮一さんの姿が目に浮かぶ。

わがままを言ってしまった気がして、私も次の言葉を必死に探す。

「・・・来週、そっちに行く。

明日土曜日だから、ナナがよければ明日でもいいけど。」

「えっ！そ、そんな・・・いいですよ！」

亮一さんからの提案に、私は驚き、断ろうと言葉をかける。

「もともと、土日は予定ないし。」

「でも・・・私は今週も来週も仕事だから・・・。」

「夜なら少しでも会えるだろ？」

「でも、それだけのために来てもらうのも・・・。」

「オレは大丈夫だよ。」

「で、でも・・・お金もかかるし・・・。」

「そんなの気にしなくていい。

ナナが会いたいって思ってくれるなら、

オレが会いに行きたいって思っただけだから。」

「でも・・・。」

私が「もっと会いたい」と言っただけで、亮一さんは、明日にでも会いに来てくれるという。

もちろん、その気持ちはすごくうれしくて。

うれしいけど・・・。

私だって、亮一さんに大変な思いはさせたくないし、私のために、振り回したりもしたくない。