ナナイロのキセキ
(あと、2か月後・・・。)
婚約しているとはいえ、本当にその約束だけで。
「私が横浜に戻ってから」というお父さんとの約束もあるため、結婚についての進展は、なにもないまま。
急に言われた言葉に、私の頭は混乱する。
表情を曇らせた私に、亮一さんは真っ直ぐな視線を向けた。
「それで・・・。ついてきてほしい。
1年間、ずっと中途半端だったけど。
こっちでまたナナが仕事がんばってるのもわかってるけど、
オレは、ナナを連れて帰りたい。」
「・・・!」
はっきりと言われた言葉に、胸の奥が熱くなる。
「結婚」という二文字が、言葉なく降りてくる。
声を出さずに頷くと、亮一さんの手が、私の髪をやさしく撫でた。
「もう一度ナナのお父さんに会って、ちゃんと結婚許してもらう。
そうしたら・・・本当に、これからずっと、一緒にいよう。」
亮一さんの顔が近づき、私の視線と絡み合う。
「うん・・・!」
うれしくて、うれしくて。
私は亮一さんの首に腕を回す。
それを受け止めて抱きしめてくれた亮一さんに、私は自分から口づけた。