ナナイロのキセキ
数日後には、亮一さんが私の実家に挨拶に来て、正式に結婚させてほしいと言ってくれた。

お母さんはもちろんだけれど、今回はお父さんもそれを認めてくれた。

「一度でも泣かせたらすぐに連れ戻すぞ!!」という条件つきだけれど。

お母さんは毎日、「ステキな息子ができるわ!」とウキウキしているけれど、お父さんは背中に哀愁がただよってきてしまった。

「ひとり娘の父だからねえ。やっぱり寂しいんじゃない?」と、お母さんはやれやれという感じで言っていたけれど、ちょっと心配なレベルだなと、私は秘かに思っていた。

その後、亮一さんの実家にも挨拶を済ませ、やっとひと息ついた夜。

「夕食は予約してあるから」と亮一さんが連れて行ってくれたのは、横浜港を巡るディナークルーズ。

プライベートデッキで夜の海を眺めていると、亮一さんは小さな箱を取り出した。

「プロポーズも、今回ついてきてほしいって言ったのもオレの家だったから。

指輪だけはちゃんとしたところで渡したくて・・・遅くなった。」

照れながら、私の指につけてくれたエンゲージリング。

じんわりと、あたたかいものがこみ上げる。

幸せが、形になる。

私は夜空に手のひらをかざす。

薬指に光るキラキラとした輝きは、私たちの未来をも、照らしてくれるようだった。

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