ナナイロのキセキ

(はー。あったまった。)


休憩室に入り、ラベンダーティーをカップ一杯飲み終えると、身体はだいぶポカポカになる。


(さて、そろそろ帰ろうかな。)


カバンを持って立ち上がると、時計の針は、20:30を指していた。

外に出ると、ぴゅうーっという風が吹き、私は寒さに肩を縮める。


(うー、手袋もしてくるんだったなあ。)


はーっと手に息を吹きかけ、歩き出そうとしたときだった。


「牧野さん!」


急に自分の名前を呼ばれ、思わずびくっと立ち止まる。


「あ・・・!ごめん、驚かすつもりはなかったんだけど・・・って、普通驚くか・・・。」


恐る恐る声の主を見ると、ときどきお客様として来店する、サラリーマンの坂下さんだった。


(?な、なんだろう・・・?今日は・・・来てなかったよね。)




< 4 / 261 >

この作品をシェア

pagetop