ナナイロのキセキ
(はー。あったまった。)
休憩室に入り、ラベンダーティーをカップ一杯飲み終えると、身体はだいぶポカポカになる。
(さて、そろそろ帰ろうかな。)
カバンを持って立ち上がると、時計の針は、20:30を指していた。
外に出ると、ぴゅうーっという風が吹き、私は寒さに肩を縮める。
(うー、手袋もしてくるんだったなあ。)
はーっと手に息を吹きかけ、歩き出そうとしたときだった。
「牧野さん!」
急に自分の名前を呼ばれ、思わずびくっと立ち止まる。
「あ・・・!ごめん、驚かすつもりはなかったんだけど・・・って、普通驚くか・・・。」
恐る恐る声の主を見ると、ときどきお客様として来店する、サラリーマンの坂下さんだった。
(?な、なんだろう・・・?今日は・・・来てなかったよね。)