ナナイロのキセキ
(うう、どうしよう・・・。なんか言ったほうがいいのかな。)


二人とも照れてしまい、妙な雰囲気が流れてしまう。

「・・・あ、えっと・・・。そういえば!転勤の準備はすすんでますか?」

恥ずかしさを断ち切るように、私は、おもむろに話題を変える。

「あ、ああ・・・。うん。まだ一か月あるからそんなにやってはないけど。

本とかは、少しずつ段ボールに詰めたりしてる。」

「そうですか。・・・仕事忙しいのに大変ですね。」

「そうだね・・・。でも、まあ、こうやって牧野さんに会えると、

疲れもすぐに吹き飛ぶかな。」

「・・・!」


(ま、また・・・!自分からはそういう恥ずかしいこと、平気で言うんだから・・・!)


にこっと、私に微笑みかける表情は、照れてる様子は感じられない。

シャイなのかなんなのか、よくわからない。

こういう言葉は、言いなれているんだろうか。

好意は見せてくれているけど、まだ、付き合ってほしいと言われたわけではない。


(私の気持ちは気づいたっぽいのにな。この流れで、そういうこと、言ったりしないのかな・・・?)


完全に、期待している自分に気づく。

でも、もしかしたら、からかわれているだけだとか・・・?


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