ナナイロのキセキ
もちろん、そんなひとではないと思うけれど。

一度感じてしまった気持ちは、どんどん不安を連れてくる。


(転勤も近いのに・・・。しばらくは、このままなのかな・・・?)


思っていた以上に、早く距離を縮めたがっている自分に気づく。

デートでいえば、まだ2回目でしかないのに。

なんでこんなにも、もどかしさを感じてしまうんだろう。

私から、何かアクションを起こせばいいのだろうか。

だけど、そんな勇気は自分にはない。


(でも・・・。)


自分の中で、さまざまな思いが交差する。

複雑な気持ちを抱えたまま、私はデザートのケーキを食べる。


その後も、時々、坂下さんは甘くてやさしい言葉を口にする。

けれど、関係を進展させるひとことは、やっぱりないままなのだった。

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