ナナイロのキセキ
坂下さんのことが好きなのだと、言ってしまおうかと口を開く。

しかし、なかなかうまく言葉が出ない。

ふっと坂下さんを見上げると、メガネの奥に、潤んだような真剣な瞳が見えた。

その表情にドキッとしてしまった私は、思わず、違う言葉を口にしてしまう。

「坂下さんは・・・その・・・モテますよね?」

「え?」

好きだと言う前に、不安の気持ちをぶつけてしまった。

モテそうなのに。

こんな、11コも年下の私で大丈夫なのだろうか。

からかわれてる?

そうじゃなかったら、なんでこの先を言ってくれないんだろう。

でも、いまは、そんなことを言いたいわけではないのに。

言ってから、自分で「違う」、と思うものの、片隅にある不安の感情が、

そのまま私に言葉を走らせる。

「だって・・・。坂下さんは背も高くてかっこいいし、やさしいし・・・。

モテそうじゃないですか・・・。

なんか、いろいろ、不安です・・・。」

私はうつむきがちに、ぽつぽつと思いを告げる。

顔を見ているわけではないけれど、坂下さんが動揺しているのがなんとなくわかった。

「まさか・・・。いや、モテないよ、全然。

そんな風に思ってくれるのは光栄だけど・・・。」

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