ナナイロのキセキ
「モテないっていうか・・・牧野さんの場合は、あんまり

出会いがなかったんだろ。今の職場も女の人ばっかりだと思うし。

うちの会社に入ったら、大変なことになると思う。」

「大変なこと?」

「うん。完全に、牧野さんの取り合いでバトルがはじまるな。」

「ええ!?いやいやいや、私、そんなタイプじゃないですよ、全然・・・。」

あまりにびっくりして、大きな声を出してしまう。

「牧野さんは、あんまり自覚がないみたいだけど・・・。

自分が思ってるよりも、かなりかわいいんだと思ってていいよ。

牧野さんは、いろいろオレの心配してるみたいだけど、

オレは・・・、牧野さんの方が心配だ。」

冗談には聞こえない言葉に、一瞬、ドキンとしてしまう。

何と返していいのかわからずに、私は言葉に詰まってしまった。

そんな私に、坂下さんは、運転席からわずかな瞬間視線を落とす。

「・・・それだけ、牧野さんのことがかわいくて仕方ないってこと。」

最後に、そう付け加えるように呟いた坂下さんは、

めずらしく、そんなことを言った自分に照れていた。


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