ナナイロのキセキ
横浜、みなとみらい。

街の中心部にある駐車場に車を止めると、

私たちは、海沿いにある公園に向かって歩き出す。

「ものすごくベタなデートがしたい!」という私の要望に応え、

坂下さんは、王道の横浜デートプランを考えてきてくれたらしい。

デートスポットで有名な、目的地の公園に着くと、

海沿いの遊歩道を、二人で並んで歩いていく。

「天気いいから、気持ちいいですね。」

「うん、そうだね。」

たまに吹く風も心地いい、穏やかな秋晴れ。

土曜日ということもあって、カップルのほかに家族連れも多い。

みんながみんな、キラキラと、楽しそうに微笑んでいる。


(私もこうして坂下さんと一緒にいられて・・・幸せだな。)


私は、隣を歩く坂下さんを見上げる。

目が合うと、いつものようにニコッとやさしく返してくれる。

「どうかした?」

「いえ・・・。なんか、うれしくて。」

「うん。オレも。ゆっくりデートするの、初めてだしね。」

相変わらず、二人の距離は微妙なまま。

自分から、手をつないだりすればいいのかもしれないけれど、

どうしても、あと一歩のところでためらってしまう。


(こういうところ、やっぱり私は高校生レベルだな・・・。)


いや、いまの時代だと中学生レベルだろうか、と少し考える。

< 56 / 261 >

この作品をシェア

pagetop