ナナイロのキセキ
真剣な表情で呟かれ、少しだけドキッとする。

私は勇気を出して、お店の中に入ることにした。


中に入ると、上品な着物姿の店員さんに気後れするものの、

個室の限られた空間は、確かに静かで落ち着いた。

坂下さんと向かい合わせで二人きり、というのは少し緊張するけれど、

この緊張は、ドキドキというか、ウキウキというか・・・

そういう感じで胸が高鳴るものだった。

「わ、おいしそう・・・!」

ふかふかの座布団に正座する私の前に、彩り豊かな料理が順に並んでいく。


(旅館の食事みたい!旅行でもないのにこんなものが食べられるなんて!!)


最初のもじもじした緊張感はどこへやら。

思わず顔がほころんでしまう。

目の前に並んだ料理たちに、私はすっかりテンションが上がっていた。

「和食は好き?」

そんな私の様子をみて、ニコニコしながら坂下さんが言った。

「はい!魚、好きなんです。特にお刺身とか・・・。

こんなにたくさんの種類がのってるし、

おいしそうでうれしくなっちゃいます。」

淡い水色のお皿にのったお刺身たちを見つめながら、

私はウキウキと答えた。

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