ナナイロのキセキ
「そっか。よかった。たくさん食べてね。」

「はい。いただきます!」

マグロであろうお刺身を一切れ、ひらりと箸で取る。

それを口の中へ運ぶと、舌の上でトロリと溶けた。


(中トロかな、大トロかな、わからないけど・・・。)


「おいしいっ!おいしいですよ、これ!幸せー。」

あまりのおいしさに感動して、満面の笑みで力説すると、

坂下さんは甘い眼差しで私を見つめる。

「そっか。オレは、そんな牧野さんを見られて幸せだな。」

「・・・!ゴホッ!」

思わず、飲み込もうとしたトロにむせこんでしまう。

「大丈夫!?」

「・・・ゴホッ!・・・は、はい・・・。」


(もう・・・。また平然と、そういうこと言うんだもん・・・。)


むせ込みのためだけでなく、私の顔は、ぼおっと火がついたように熱くなる。

「・・・あ、でも・・・坂下さんは、本当にいろいろなお店知ってますね。」

まだ少しむせ込みが残る中、私は照れ隠しで話題を変える。





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