ナナイロのキセキ
一通りの食事を終え、水菓子と煎茶でなごんでいるとき、

私はふっとあることを思す。

「そうだ。プレゼントしてもらったネックレス、つけてみようかな。」

左脇に置いてあった白い紙袋を手に取ると、

中からペンダントケースを取り出した。

「つけてあげる。」

「え?」

私が返事をする間も無く、坂下さんは私の後ろに回り込む。


(え?え?)


「貸して。」

「は、はい・・・。」

言われるがまま、坂下さんにペンダントを渡す。

ネックレスを持った坂下さんの両腕が、私の髪を、頬を、

包み込むように目の前を降りていく。

後ろから抱きしめられそうなその距離としぐさに、

全く身動きできなくなる。


(これも、坂下さんが考えるシチュエーションのひとつなの・・・?)


ドキドキと、胸の音が聞こえそうなくらい激しく鳴っている。

坂下さんの指は、鎖骨に触れそうな位置で一旦動きをとめると、

そのまま首筋へと移動する。

「はい、出来た。」

金具を留めた坂下さんの指が、静かにそっと離れていく。

その瞬間、私の肌に指先が触れ、その感触に思わずビクッとしてしまう。




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