ナナイロのキセキ
「・・・・・・ごめん、手、冷たかった?」

「いえっ、大丈夫です。」

確かに感触は冷たかったけれど。

私の反応はそうではなくて・・・。

気持ちを落ち着かせるように、胸元のネックレスを触る。

ドキドキと胸は騒ぎ立てるのに、もっと、私は、

坂下さんに触れてほしいと思ってしまった。



駐車場までの帰り道。

私たちは少しだけ遠回りをして、海へと続く川沿いの道を歩いていく。

夜道から見る水面は、黒く光って小さく波を打っている。

「あ!見て、坂下さん。観覧車が写ってますよ。」

目線の先の川面には、遊園地の観覧車が

鏡のように色鮮やかに映っている。

「ほんとだ。キレイだね。」

私たちは足を止め、その情景を二人で見つめる。


(ずっと、こうしていられたらいいのにな。)


好きな人が隣にいるだけで、こんなに幸せで、ドキドキする。

私は川面を見つめながら、きゅっと切ない思いを感じる。

「牧野さん。」

「は・・・。」


(・・・!)


名前を呼ばれ、振り向いた瞬間、私の唇に、坂下さんの唇が重なった。
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