ナナイロのキセキ
あと少しでしばらく会えなくなってしまうという想いが、

私をぎゅっと切なくさせる。


(もっと一緒にいたいのにな。)


駐車場に着くと、行きがけと同じように、坂下さんは助手席のドアを

開けてくれた。

「はい、どーぞ。」

「・・・・・・。」

「どうした?」

車に乗らない私を、心配そうにのぞき込む。

「あの・・・。」

「うん。」

想いが、願いが、気持ちいっぱいになってしまった私は、

意を決してその望みを伝えることにする。

「帰りたくないんです・・・。ずっと一緒にいたらだめですか?」

「え?」

一瞬、きょとんとした坂下さんだったけれど、すぐに表情を変え、

焦ったような顔になる。

「それは・・・まずいだろ。」

「・・・なんでですか?」

「なんでって・・・牧野さんは実家暮らしだし、いきなり外泊なんかしたら、

ご両親が心配するぞ。」

「両親って・・・子ども扱いしないでくださいっ。もう私、社会人ですよ?」
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