ナナイロのキセキ
「もちろん、子どもだとは思ってないよ。そうじゃなくて・・・

子どもじゃないからこそ・・・簡単に泊めたりはできない。」

「でも、今日だけはって思って・・・。だめ、ですか?」

一緒にいたいと思う自分の思いと。

それを言葉にしてしまった恥ずかしさと。

戸惑わせてしまった坂下さんの気持ちと。

いろんな想いが交差する。


(でも・・・。)


私はどうしても一緒にいたくて。

その気持ちを伝えるように、坂下さんの袖口をつかむ。

「・・・!」

びくっと動いた腕で、坂下さんがさらに動揺するのがわかる。

「・・・困ったな・・・。」

「・・・・・・。」

本当に困っている様子の坂下さんは、何度か後ろ髪を掻きながら、

返す言葉をさがしているようだった。

「・・・じゃあ、とりあえずうちに来る?」

「!いいんですか?」

見上げると、メガネを押し上げたままの姿勢で、坂下さんは呟く。

「この状況ですんなり断れる男、いないだろ・・・。」

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