ナナイロのキセキ
車が自宅に着いたのは、予定通り、まもなく0時を迎えようとする時間だった。

「ありがとうございました。」

「うん。また、連絡する。

しばらく忙しいと思うから、電話はできないかもしれないけど・・・。

メールは、必ず毎日するから。」

「はい。私もメールしますね。

・・・あ、でも、忙しかったら無理しないでくださいね。」

「うん。わかった。

・・・あ、あと、へんな男につかまらないように。」

「ふふっ、大丈夫ですよ。

・・・坂下さんこそ、浮気したら絶対にいやですよ。」

「しないよ。こんなかわいい彼女がいるのに。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

沈黙が流れる。

会話が途切れたところなのに、私は車を降りることが出来ない。


(ここでさよならしたら、しばらく会えなくなっちゃうんだ・・・。)


私はもう一度、勇気のいる言葉を口にする。

「坂下さん。」

「うん?」

「あの・・・。もう一度だけ、キスしてくれませんか?」

「えっ・・・?」


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