ナナイロのキセキ
「うん。といっても次の日にはまたこっちで仕事だから、

その日のうちに帰らないといけないんだけど。

夕食くらい、一緒にできるかなと思って。」


(・・・うれしい!!)


「はいっ!それだけでも十分です!!」

「よかった、そんなに喜んでくれて。」

勢いづいた返事に、坂下さんが笑いながら言った。

「当たり前ですよ!すごく・・・本当にうれしくて・・・。」

「オレも、出張なんて普段は嫌だけど・・・

今回ばかりはそっちの仕事が残ってたことに感謝する。」

「はい!私も。」

「うん。」

短い言葉でも。

声だけで、坂下さんがやさしく微笑んだのが、わかったような気がした。

これだけで、この二週間の思いが、全てきれいな色に塗り替えられていく。

私はその夜、久しぶりにあたたかな気持ちで眠りに就くことができた。
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