私たち、政略結婚しています。
「女性に指輪さえ贈ればいいと思ってるんですか?
男は一生の間に一つ用意すればいいんですよ。
何個もばらまくものじゃない。
あなたのその行為が浅尾さんを傷付けたんですよ」
秋本がまくし立てる。
俺は彼の話が理解できずに目をしばたかせた。
「何を言っている?」
「秋本くん、もうやめて。
知られちゃ駄目なのよ。約束したの…!」
佐奈が秋本の腕を掴んで言う。
その言葉がさらに俺の頭を混乱させる。
「佐奈?何の事だよ。何を言って…」
「中沢さんだよ!とぼけないで下さい!浅尾さんに対してあんまりでしょう」
え?亜由美?
何故、彼女の事が…?
「中沢さんにも指輪を贈って待たせているんでしょう?
俺には関係ない話だけど、浅尾さんが可哀想ですよ!」