私たち、政略結婚しています。
何が本当のことなの?
誰を信じたらいいの?
私はどうすればいいの?
「私は…二人の邪魔で…、早く別れないといけないから…。
だから、もう、いいやって思って」
「何の話だよ」
「指輪を…見たから。分かっているから、だから…」
「…指輪?」
そこまで話して、しまったと思った。
つい言ってしまった。
私は口をつぐんだ。
「佐奈。…言え。何を隠してる?」
「何も」
「言え」
克哉の気迫に、もう誤魔化しきれないと思った。
二人が上手くいくためには、もう克哉に打ち明けて納得してもらわなければならない。
「あの…中沢さんに、見せてもらったの。…結婚指輪。待たせているんでしょ?
…私は…そんなのもらっていないから…」
そこまで言うと、堪えていた涙が溢れ出した。
もう、止められなかった。