私たち、政略結婚しています。

疑問符を頭の周りにたくさん飛ばしたような顔で克哉は私を見つめている。

私はそんな彼を見て微かに笑いながら言った。

「覚悟ができたの。ジタバタしても、仕方がないって。妬いたり拗ねたりしている時間がもったいないわ。
笑ってさよならする日まで、可愛い奥さんでいるから。
…今日は、朝まで優しく抱いていて。
こうして伝えていけばいいのね。
……少し酔っているから言えるのかもしれないけれど。…きゃ!!」

突然、克哉が私を強く抱きしめた。

その身体が、微かに震えている気がした。

「…克哉…?」

「…そんな事を言うな。…頼むから…。いつか離れることなんか、考えるな。いつだって側にいて、抱いてやるから。どこにも行けなくなるように。俺から離れられなくなるように」

…分かっている。あんたが優しいことは。
期限があっても、私たちは夫婦だから。

「うん。…思い切り甘やかして、私をもっと素直にしてみせて。旦那様の言うことなら聞くから」

「…やめてくれよ。そんな風に茶化すな」

「本当にそう思ったのよ」

何でも言って。
このまま別れてほしいと言われても、従うから。


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