私たち、政略結婚しています。



「………う…ん……」

そのまま佐奈を見つめていると、その瞳がゆっくりと開かれた。

「……朝…?………おはよう」

「うん。…おはよ。……起こしちゃったか。悪い」

彼女の頬から手を離そうとすると、その俺の手を佐奈がそっと包んだ。


「……温かい。このまましばらくこうしていて」


素直に気持ちを伝えてくる彼女は珍しい。愛しく思う。
こうして何でも話してくれたらいい。
心の中にあることを全て。受け止めるだけの度量は持ち合わせているのに。

俺を信用していないのか?



< 126 / 217 >

この作品をシェア

pagetop