私たち、政略結婚しています。
「………う…ん……」
そのまま佐奈を見つめていると、その瞳がゆっくりと開かれた。
「……朝…?………おはよう」
「うん。…おはよ。……起こしちゃったか。悪い」
彼女の頬から手を離そうとすると、その俺の手を佐奈がそっと包んだ。
「……温かい。このまましばらくこうしていて」
素直に気持ちを伝えてくる彼女は珍しい。愛しく思う。
こうして何でも話してくれたらいい。
心の中にあることを全て。受け止めるだけの度量は持ち合わせているのに。
俺を信用していないのか?