私たち、政略結婚しています。
「……ねぇ、克哉。私に遠慮しないでね。あんたは思うままにいけばいいの。私は……勝手にやりたいようにやるから」
「何言ってんの、お前。意味が分からねぇ。…思うままってことは…、こういう意味か?」
俺は佐奈にガバッと覆い被さると、その唇を塞いだ。
「きゃ…っ!…んんっ!」
佐奈は驚いた顔で俺を見ていたが、やがて、その目をそっと閉じて俺の首に腕を巻き付けてきた。
もう、観念しろ。
俺が好きなんだろ?
お前の気持ちが、全身から伝わってくる。
何を恐れている?
どうして躊躇う?
佐奈が話してくれるまで待つしかないのか?
そんなことを思いながら俺は彼女の身体にそっと唇を這わせた。