私たち、政略結婚しています。
「今回のリーダーは俺じゃなくて浅尾だよ。浅尾が企画を立ち上げたんだ」
隅の方でポカンとしながら信じられない表情で、事態を未だ把握していない佐奈の方を見ながら付け足した。
皆は一斉に今度は佐奈の方を向いた。
「……え。私?…私は何も…」
佐奈は手を大袈裟に振りながら謙遜する。
「浅尾さん、最後までバッチリ決めましょうね!」
「頼んだよ、浅尾〜」
「え、そんな…。ちょっと、伊藤」
困った顔で俺を見る彼女にニコリと笑う。
「手伝えることは全力でやらせてもらうよ、リーダー」
「…そんな、伊藤…っ」
拍手を受けながらたじろぐ佐奈に口パクで伝える。
"がんばれよ"
佐奈は微かに笑いながら、
"もう、バカ…っ"
と返してきた。