私たち、政略結婚しています。
「何の…ことよ」
亜由美の強気な笑みが消えオロオロとしながら再び俺から目を逸らす。そんな彼女の様子から指輪を拾ったであろうという推測が正しかったと確信する。
「佐奈に…伝えないと。それが必要なんだ」
「あの子はあなたの言葉を信じるかしら。
私を好きだと思ってるわ」
開き直ったように亜由美は言った。
「いいんだ。どう思われていても。君が佐奈を狙うなら俺が守るしかないだろ」
「私とやり直すなら、もう彼女に手出しはしないわ。
このまま別れないなら、私にだって考えがあるから」
俺は亜由美を睨んだ。
「佐奈は関係ないって言っただろう」
「私にとっては大ありよ。あの子は邪魔だもの」
俺の存在が佐奈を危険に晒しているのか?守ろうと側にいることがかえって危険なのか。
そんな俺の態度が、未だに亜由美の気持ちをかき乱している。その怒りの矛先が佐奈に向かっている。