私たち、政略結婚しています。

対面




――朝。

目覚めてすぐに隣を向いた。

私を抱きしめて温める腕も、大好きで綺麗な寝顔も、もちろんそこにはない。

「…はぁ…」

ため息をついて昨夜の出来事が現実であることを改めて実感する。

この結婚生活の終わりが静かに訪れてきていることに再び悲しみが込み上げてくる。

「ダメダメっ。ファイトっ」

こぼれ落ちそうな涙を止めるように頬をペチペチと叩く。

私は私で、これからのことを考えていかなければならない。
克哉と中沢さんのことをきちんと応援できるように。

起き上がり、秋本くんに昨夜のメールの返事を打つ。

『秋本くん、メールありがとう。
私も羽伸ばしにゆっくりと話したいわ。

近いうちに会いましょう』

「よしっ。今日は荷造りね」

悲しみを抱えた重い気持ちを忘れることは出来ないけれど、いつまでも克哉を思って泣くわけにはいかない。


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