私たち、政略結婚しています。
窓の外から降り注ぐ日差しが明るい。
それを見ながらゆっくりと身体を起こした。
――「今度テニスに行こうか」
「え」
――突如よみがえる記憶。
克哉の胸の温かさを感じながらまどろんでいると突然彼が言った。
「大学の頃、少しやっててさ。
楽しいんだ。
佐奈と一緒にできたら、って最近考えてた。健康管理にも気をつけないとな。運動不足でお互いに動けなくなったら厄介だろ」
クスクス笑いながら言う克哉の顔に見惚れながら聞いていた。
「私は動けなくなったりしないわ。健康だもの」
「お前をおぶって歩くなんて苦労を俺に求めるなよ」
…それは、遠い未来の話なの?
想像しても、いいの?
「じゃあ、仕方ないから付き合ってあげるわよ」
私の返事に笑顔で髪を撫でる、そんな克哉の顔を見つめて幸せを噛みしめる。