私たち、政略結婚しています。
――ほんの数日前の二人の姿。
ぼんやりと思い返しながら窓の外を見つめていた。
…今日は快晴。
絶好のスポーツ日和。
なのに彼はいない。
部屋の中の静寂が、私に迫り来る。
交わした約束も、与えられた優しさも、全てが無効になる。
狂おしいほどに求めてやまない克哉への愛を抱えて私は何処へ向かえばいいのだろう。
「克哉…苦しいよ…」
好きで、欲しくて、触れたくて、堪らない。
こんな私を叱ってくれる人もいない。
自分がこんなに弱いことを改めて知る。頭にあるのは克哉の笑顔と温かさ。
ひどいよ。
いなくなるつもりなら、私に優しくしてなんて欲しくなかった。