私たち、政略結婚しています。
ピンポン。
玄関のチャイムが鳴る。
フラフラと立ち上がりインタホンへと向かう。
お母さんがもういらしたのかしら。まだ朝早い。
「…はい」
『中沢です』
…えっ。
朦朧としていた私は一気に正気に戻った。
『克哉は?いないの?』
「ええ…。ちょっと外に」
『あ、そう。じゃあ丁度よかったわ、あなたと二人で話したかったのよ。
ちょっと開けて下さらない?』
私は脱力する間もなく、素早く着替えると玄関のドアを開けた。