私たち、政略結婚しています。


ピンポン。
玄関のチャイムが鳴る。

フラフラと立ち上がりインタホンへと向かう。

お母さんがもういらしたのかしら。まだ朝早い。

「…はい」

『中沢です』

…えっ。

朦朧としていた私は一気に正気に戻った。

『克哉は?いないの?』

「ええ…。ちょっと外に」

『あ、そう。じゃあ丁度よかったわ、あなたと二人で話したかったのよ。
ちょっと開けて下さらない?』

私は脱力する間もなく、素早く着替えると玄関のドアを開けた。



< 160 / 217 >

この作品をシェア

pagetop