私たち、政略結婚しています。
「おはよう」
ヒラヒラの華やかなワンピースに身を包んで、彼女はにこやかな表情で立っていた。
「おはよう…ございます。どうぞ」
彼女を部屋に招き入れドアを閉める。
勝手知ったる部屋に訪れたかのように彼女はスタスタとリビングに向かうと、ドサッとソファに腰かけた。
私がキッチンに向かおうとすると、「お茶なんていらないわ。欲しければ自分で淹れるから構わないで」と言った。
自分は客ではないという、彼女の意思表示だ。
私は仕方なく彼女の向かいに腰かけた。
「…話って」
私が言うと彼女はニヤリと笑った。
「克哉から聞いた?ようやくあなたと別れるって決心したみたいなの」
「ええ。聞いてるわ。
私はもうすぐ出て行くつもりだから」