私たち、政略結婚しています。


私の返事に彼女はクスクス笑いながら嬉しそうに答える。

「あなたね、本当に面倒臭かったわ。彼と私があなたにどれだけ気を遣ったか。
まあ、いいわ。ようやく私たちは邪魔者が消えてうまくいくから。
ご実家の会社も、もう婚姻関係がなくても大丈夫みたいよ」

え。

突然出た話に私は驚いた。

「もし、それが本当だとしてどうしてあなたが知ってるの」

「私は何でも知ってるわ。今の時代は本当に便利なのよ。
興信所がね、ほんの数万円払えば何でも調べてくれるのよ」

「…興信所…?」

背筋に悪寒が走る。

「ええ。当たり前でしょ。私の恋人をあなたに貸していたんだから私は知る権利があるのよ。
あ、安心して。料金の請求とかはしないから」



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