私たち、政略結婚しています。
「何なのよ!どうして中沢さんを置いて追って来るの?!
もうやめるんでしょ?疲れたから終るんでしょ?
もう…これ以上振り回されるのはたくさんよ。
私を惑わせて面白がってるの?
部屋を出て行かずにどうすればいいのよ!三人で暮らすとでも言うの?
私はごめんだわ!!いい加減にして!」
泣きながら狂ったように言う佐奈を見て胸が苦しくなる。
佐奈の心の叫びに触れて泣きたい気持ちになった。
「違う…。終われない。
もう、迷わないから、……信じてくれ」
容赦なく降り注ぐ雨が二人の前髪を濡らし、雫で視界が悪い。
「何を信じろと?中沢さんをもう離さないってことを?」
「お前をだよ!!」
俺が怒鳴ると佐奈は黙った。
「お前を、何があっても離さないって決めたんだ。
何度も話したけど亜由美とは終わってる。
佐奈が………大切なんだ」