私たち、政略結婚しています。


「何なのよ!どうして中沢さんを置いて追って来るの?!
もうやめるんでしょ?疲れたから終るんでしょ?

もう…これ以上振り回されるのはたくさんよ。
私を惑わせて面白がってるの?

部屋を出て行かずにどうすればいいのよ!三人で暮らすとでも言うの?

私はごめんだわ!!いい加減にして!」


泣きながら狂ったように言う佐奈を見て胸が苦しくなる。

佐奈の心の叫びに触れて泣きたい気持ちになった。

「違う…。終われない。
もう、迷わないから、……信じてくれ」

容赦なく降り注ぐ雨が二人の前髪を濡らし、雫で視界が悪い。

「何を信じろと?中沢さんをもう離さないってことを?」

「お前をだよ!!」


俺が怒鳴ると佐奈は黙った。


「お前を、何があっても離さないって決めたんだ。
何度も話したけど亜由美とは終わってる。

佐奈が………大切なんだ」



< 175 / 217 >

この作品をシェア

pagetop