私たち、政略結婚しています。
「……ちょ、待て。分かった、俺が悪かった」
急にオロオロしながら謝る克哉を見て、更に泣けてきた。
「うわぁーん!!戻るとか言うなー!!バカァァ!!」
「お、おい……。マジで、やめろって、佐奈」
「ひどいよー!!信じられなぁい」
「……あーもう……。
仕方ねぇなぁ…」
ヒョイと私を地面に下ろして、克哉が私の顔を覗きこんだ。
「…え?」
私は泣くのをやめて彼を見上げる。
「ちゃんと好きだって。お前だけ。
頭悪ぃな。何度も言わせんな」
そう言って私の顎を掴むと、優しく触れるだけのキスをした。
そのまま目を閉じてその心地よさにどっぷりと浸る。
彼のキスは私を幸せにする魔法。胸を優しく締め付けてキュッとさせる。
ねえ、克哉。私ね、本当にあんたが好きなの。きっとあんたが思っている以上に。
…心を取り出して、見せてあげたい。
そんなことを思いながら克哉の唇に更に強く吸い付いた。
すると彼が私の髪を優しく撫でる。
泣き止むどころか、余計に涙が出てきた。
こんなバカな私を好きだと言ってくれる、優しい旦那様。
克哉と結婚したことを本当に幸せだと初めて心から思った。