私たち、政略結婚しています。
佐奈はいつものようにギリギリと悔しがる。
俺はニヤニヤと笑いながらそんな佐奈の様子を見て嬉しくなる。
「…ドキドキは…ちょっと…したけど。でも!もう、なんとも思ってないからね!」
…不意打ち。
赤い顔で、そんなことを言う佐奈を愛しく思う。
なあ。
俺を好きになれよ。
このままどこにも行くなよ。
言えないけどな。
「単純。お前はそのうち、どっかの男に騙されるな」
「騙されないわよ。あんたみたいな奴にでも出会わない限りはねっ」
言い合いながら再び二人で餃子を包みはじめる。
騙されないよ。
俺が、離さない限りはな。
こうして笑って楽しく過ごせる時間が、終わらない限りは。