私たち、政略結婚しています。
「でもさー…、私、本当に帰ってきてよかったの?」
焼きたての餃子を口に入れたまま佐奈が言う。
ギクッ。
俺は彼女の突然の言い方に身構えた。
また、やっぱり出て行くとか言い出す気がした。
「何でだよ」
「中沢さん…。よりを戻したがっているんじゃないの?」
彼女は言いにくそうにそう言いながら俺をチラチラと見ている。
「ああ…、終わったって」
「…そう。あんたさー…モテるから何だか申し訳なくて…。留美子ちゃんも克哉に気があるみたいだし」
「興味ない。と、言うか仕事に私情は挟まないでもらいたい。やりにくいからな」
「うわ。ひどい…。なんであんたみたいなのが…」
「だから、妬くなって」
「何でそうなるのよ!」
興味ない。お前以外の女になんて。
俺の妻は佐奈だけだから。
…かなり、鈍い嫁だけどな。