私たち、政略結婚しています。
「あなたが彼の部屋に住んでいることは、もう知っているの」
「…ええ」
「はっきり言って、あなたの存在は邪魔なのよ。彼の元から去ってほしいの」
私は俯いた。
言い返せない。
彼女の要求が理不尽なことだとは思えない。
「彼はあなたじゃダメよ。私じゃないと」
「その理由は…」
一方的なその言い方に、私の何がそう思わせるのかを知りたくなった。
普段は勝気な私だけど、今は訳を聞くことで精一杯だ。
そんな私をバカにするように、彼女は鼻で笑いながら言い切る。
「だってあなた、同情を引くやり方で彼を手に入れたんでしょ?卑怯じゃない。彼が可哀想よ。逃げられないんだもの」
「…っ…!!」
…知ってる!?どうして!?
私は口に手を当てて、目を見開いて彼女を見た。