私たち、政略結婚しています。
「だから私さ、今度こそ離婚するわ。お互い、やり直したいじゃん?色々と。実家には話してくる。
あのね、この前お父さんが言ってたの。店舗の不動産を売れば借金は何とかなるって。本当か聞いてくるわ」
私はそう言いながら再び彼を見上げた。
「…っ……」
思わず声を上げそうになる。
彼の目が…赤く、滲んでいた。
私の視線を受け、克哉は目を逸らした。
な…、なんで…。
あんたが泣くのよ。
私がいなくなれば、全ては思い通りになるのよ?
驚いて黙った私の目の前で、彼は目頭を押さえて俯いた。
「…な…」
いつも自信満々で、嫌味で、偉そうで。
笑うとその目はいたずらに輝く。
部の中では皆に頼りにされて、尊敬されて。
悩みなんて一つもなさそうで。